【新連載:革製品の歴史】その2 軍隊の道具が発祥だった「ランドセル」のはじまり

革のまめ知識

みなさんこんにちは、KAWANOWAです。

カバンやバッグなど革製品の歴史をひもとく連載、第2回目です。前回はこちら
今回も参考写真は、「世界のカバン博物館」からお借りしています。

さて今回のテーマは「ランドセル」
そろそろ来年の小学生たちは、ランドセルを購入する「ラン活」真っ最中かもしれませんね。

最近ではそのシーズンもどんどん早まって、すでに人気のブランドはゴールデンウイークには予約で完売してしまうものもあるんだとか。

自分たちが小学生の時とは、いまは全く違っているようです。いやはやすごい熱狂。。

軍隊での道具入れがランドセルのルーツ

そのランドセルはどんなルーツをたどってきたのでしょう。

明治時代、東京に創設された学習院では、軍隊で使う「背嚢(はいのう)」に学用品を入れて通学させていました。この写真はショルダーバッグですが、素材感や形状としてはこんな雰囲気かもしれません。

この背嚢は、幕末に西洋式の軍隊制度が導入された際に、一緒に入ってきたもの。これがランドセルのルーツと言えそうです。

ランドセルという言葉は、オランダ語で背嚢のことを「ランセル」と呼ぶところから生まれたと言われ、現在まで受け継がれてきました。

確かに、同じ名前のブランドがフランスにありましたね。

伊藤博文が特注したランドセル

ランドセルが生まれた当時は、カタチはリュックサックに近いものだったそう。現在のような大きなかぶせタイプが誕生したのは、なんと明治20年のこと。

時の総理大臣である伊藤博文が、大正天皇の学習院入学を祝して、特注したものを献上したのが始まりだそうです。
まさにこちらが同じもの(レプリカ)。今よりも一回り小さめですね。

その後ランドセルは、背負うことで両手が使えるなどの点から、小学生が背負うカバンとして広く普及していきました。特に昭和30年代以降、全国的に急速に普及して日本の小学生に欠かせないものになりました。

ランドセルのような通学カバンが普及している国は、ヨーロッパの一部を除いて世界ではほとんどありません。ランドセルは今や、日本独自のオリジナル商品と言えるのではないでしょうか。

ランドセルの歴史でした。次回はハンドバッグの歴史を紐解きます。

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参照:「鞄・ハンドバッグ・小物の基礎知識」(日本皮革産業連合会発刊)より

 

 

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