「雨と仲良く過ごそう」前半 革のまめ知識 2018年8月6日2018年9月14日 by chie kawasaki こんにちは。いつも「KAWANOWA」をご覧くださり、ありがとうございます。 毎日暑いですねー。 今年7月は例年よりも早い梅雨明け宣言で、各地で酷暑が続いております。ただ西日本の豪雨災害など、“観測史上類をみない”を連発した雨量が続くなど、心配も多いですね。 台風やゲリラ豪雨などもいつどこで遭遇するか分からないので、普段から“雨に対するケア”も不可欠になってきています。 今回のテーマは「雨と仲良く」。そんな天候でも、どうすれば革ものを楽しめるかをお伝えします。 ◆革のしなやかさは「水」と「油」のバランス 革製品はまさに“天然の動物の皮革”。このしなやかさは、皮革の繊維構造を成している「コラーゲン」のおかげです。 これらはタンパク質からなる繊維で、皮のほか骨、歯、腱、血管、筋肉などあらゆる組織に分布しています。皮をなめす際には、なめし剤とくっついて「革」を作ります。下記のように、繊維の間に“橋を架け”て丈夫にするというイメージがわかりやすいと思います。 コラーゲン繊維構造 革のしなやかさを保っているのは、「水分」と「油分」。そのどちらが不足しても、革は硬くなったりひび割れたりしてしまいます。ケアの基本は、汚れを落とし、クリームなどで水分と油分を補って、その繊維構造を維持することが第一歩。 とはいえ、今まで“なめし”工程を見てきたように、「皮」が「革」になるまでには、原皮を「洗う」、「鞣す」、「染める」など、大量の「水」を使う必要がありました。 もともと革と水は「仲良し」であるがために、実は「水分とは馴染みやすい(親水性)」特徴を持っています。その特徴から、高い「吸湿性・放湿性」が生まれるため、靴などで「通気性が良い」と言われるゆえんです。 ◆もともとは“丸み”のあった動物の身体 万一、革製品が濡れてしまった時に、特にやってはいけないのは「急激に乾かす」こと。早く何とかしたいと、ドライヤーを使ったりストーブの前やクーラーの下などに置いておくのは厳禁です。 たとえば、おなじコラーゲン繊維で出来ている「イカの一夜干し」を想像していただくと分かりやすいかも。熱を加えるとくるんと丸まってしまいますが、もともと動物たちの身体は“丸い形”。革を作る際には、平たい形に伸ばして乾燥させているので、濡れることにより元に戻ろうとします。 革の脂分が抜けて、乾いた時には風合いが変わってしまうことも。「濡れた状態」+「熱を加える」のコンビネーションの時が、最も革が弱ってしまいます。 革の種類やなめし方、加工方法によって差はありますが、完成した革は基本的に「水」に対しては強くありません。なので、重要なのが事前の「ビフォアケア」になります。 さてそんな時はどうするかというと。。 ◆買ってすぐに「ビフォアケア」を忘れずに 革製品は、使用していくうちに汚れやキズがついてきます。まず、買ってから間もないうちにクリームを塗ることを習慣化しましょう。革に油分が補給されて表面に薄い“保護膜”ができるので、後のお手入れも簡単になります。ちょっとした雨であれば、その保護膜で水濡れから守ってくれます。 クリームを塗ったその後に、防水スプレーもかけてください。革ものに使う防水スプレーは「フッ素樹脂」タイプがおすすめ。 フッ素系がおすすめ 一方で「シリコン系樹脂」もありますが、透湿性がないタイプなので傘や雨靴、レインコート、マリンスポーツウエアなどに向いています。またシリコン系は油汚れなどは防げません。 「フッ素樹脂」は、繊維を細かくコーティングし、適度に透湿性があるので革や衣類の繊維製品に向いています。油をはじく効果もあるので、防汚効果も高いと言われています。 成分はスプレーの後ろに記載されています 前半はここまで。雨対策に「ビフォアケア」は特に大切ですので、ぜひ「買ってすぐ」の対策を。 次回はいよいよ「濡れてしまってから」のポイントです。 ~~~~ ◆参考 一般社団法人日本皮革産業連合会 販売員研修テキスト http://www.jlia.or.jp/ ━━━ KAWANOWAは、「革とオトナのいい関係」を作っていくサイトです。 革についての知られざる知識あれこれを、これからもお伝えしていきます。また次回もお楽しみに。 文責: CHIENOWAコミュニケーション 川崎