「雨と仲良く過ごそう」後半

革のまめ知識

こんにちは。いつも「KAWANOWA」をご覧くださり、ありがとうございます。

さて前回に引き続き、「雨と仲良く過ごそう」の後半。まずは防水スプレーの上手なかけ方です。

◆防水スプレーのかけ方のコツ

知っているようで知らなかった、防水スプレーのかけ方。プロに聞いた「上手なかけ方」ですが、その際のポイントは5つありました。

POINT-1

スプレーする革製品が濡れていると効果が出ない

「バッグが濡れてしまった!」と慌てて、直後にかけても効果なし、ということですね。

まずはアフターケアをしっかりして乾かしてから。

POINT-2

スプレーする前に、まず缶をよく振ってから

成分が分離していることもあるので、まず振って振って。

POINT-3

風通しの悪い室内などは厳禁。できれば屋外の風通しの良い場所で使用する

中には、玄関で使って気分が悪くなったという人も。狭い場所ではスプレーがこもりやすいので気を付けて。

POINT-4

製品から20~25cm離して噴射。1か所に「2秒を2回」ほど軽くスプレーする

それだけで効果があるので、1か所に液を多くかけても効果は変わりません。

POINT-5

スプレーした後は、表面が乾いてから効果が表れるので、15分以上置く

すぐに出かけたい気持ちもわかりますが、しっかり乾いてから使いましょう。

「フッ素樹脂のはっ水メカニズム」としては、上記の図のように表面に「樹脂の棒」がいくつも立っているイメージです。

その上に水滴が乗っていて、空気は通すので通気性は保たれるという訳です。こすれたり折れ曲がったりすると、その場所の「樹脂の棒」が倒れるため、はっ水効果が薄くなります。

2ケ月に一度くらいのペースで掛ければ、防水効果は維持できると考えられています。

 

◆防水スプレーが不要な革も

実は、革の仕上げの中には防水スプレーが不要なものもあります。「オイルレザー」などの油分を沁み込ませたもの。そして「ブライドルレザー」などワックスで仕上げたものです。

両者ともに丈夫な革として筆頭に挙げられますが、徐々に効果は落ちてきますので、缶入りのワックスやクリームなどでケアをしていく必要があります。

また「エナメル加工」のものは防水スプレーは不要です。ウレタンコーティングをしてあるので、もともと雨には強い素材です。ただ水に濡れるとエナメル独特の「ツヤ感」がなくなってくるので、その時には「エナメル専用」のクリームで磨きツヤを出してください。

 

◆雨に濡れてしまったら

【軽い場合】
もし雨に濡れてしまったら、なるべく早く対処しましょう。
まずは、よく乾いたタオルで水分を拭きとります。この時に、ゴシゴシ擦るのは厳禁です。

軽く押さえるように、ポンポンと拭くようにします。衣類のシミ抜きの時のような感じで拭きましょう。すぐに拭き取ることでトラブルは防げます。帰宅したらバッグの中身を出して、風通しの良い場所でゆっくり乾燥させることがポイント。

【かなり濡れてしまった場合】
革の芯まで水分が浸透してしまった場合、乾燥するまでの間にひび割れを起こしてしまったり、変形してしまったりすることもあります。革の脂分が抜けやすくなるので、特に注意が必要です。

まず水分をよく拭きとったら、バッグの中身を出して乾かします。革製品は濡れているうちは伸縮性があるので、新聞紙やタオルなどを詰めて、形崩れしないよう整えます。

この時に、手軽さもあって新聞紙を使用することが多いですが、湿った新聞紙のインクが時として内側についてしまうことがあります。そんな時は、100円ショップなどに売っている「洗濯ネット」に新聞紙を詰めて、バッグの“アンコ”代わりにするのがおすすめ。

乾燥したら、バッグ用のクリーナーを使って汚れを落とし、無色のクリームで水分と油分を補ってください。

 

◆防水加工のレザーについて

最近は、あらかじめ「防水加工」が施された革も登場しています。主になめし段階で防水効果のある薬剤を使うことが多いですが、国内では製造できるタンナーはごく限られています。ただ、お手入れがらくちんであることから、とても人気な素材のひとつ。

水に濡れると普通の革だと浸み込んでしまいますが、防水レザーは表面に水滴がコロコロと転がります。雨がひどい時には浸透する可能性もありますが、その後の乾きが早く、お手入れにあまり気を遣う必要がないのが有難い点。

ただこれらのレザーでも、防水スプレーは掛けた方がよいでしょう。

 

日本もここ数年は、突然の雨と暑い日々とが交互にやってくる、“亜熱帯”のような気候になりました。湿度が高いうえに、水濡れ等もあり革にとっては決して良い気候条件ではありませんが、革ものを楽しむためにはちょっとした「ビフォアケア」がポイントになります。

雨と仲良く、今シーズンも前向きに革ものを楽しみましょう。

 

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◆参考
一般社団法人日本皮革産業連合会
販売員研修テキスト http://www.jlia.or.jp/

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KAWANOWAは、「革とオトナのいい関係」を作っていくサイトです。
革についての知られざる知識あれこれを、これからもお伝えしていきます。また次回もお楽しみに。

文責: CHIENOWAコミュニケーション 川崎

川﨑 智枝(かわさき ちえ)。CHIEnoWAコミュニケーション 代表。
1991年、靴・バッグ業界において唯一の経営コンサルティング会社、「アジアリング」入社。
20年弱で全国の靴バッグ専門店・小売店へのべ2,000店を取材。バッグ業界専門コンサルタントとして
のべ約250社のクライアントに実施。
2005年、コーチ・トゥエンティワン(現コーチA)のコーチトレーニングプログラム(CTP)終了。
業界内でスタッフ・マネージャー研修、営業マン研修等を実施。著書「靴バッグ 知識と売り場作り」。
研修コーチ、服飾雑貨MDプランナー、webマガジン「B.A.G. Number」編集長として独立。