たくさんある革の種類【まとめ】 その3  <エキゾチックレザーについて 後半>

革のまめ知識

エキゾチックレザー特集の続きです。

前回も申し上げたように、革になる動物には、「哺乳類」「爬虫類」「鳥類」「魚類」などが挙げられます。ここには登場しませんでしたが、実は「ウナギ」「カバ」などの革もあるのです。もちろん「ワシントン条約」の元に厳しく捕獲制限されています。

後半はどんな動物が登場するのでしょうか。

 

3.トカゲ(リザード)

ワニ革よりも多く用いられ、ワシントン条約上で取引可能な種は9種類です。クロコよりも細かな模様が美しく、バッグやベルト、革小物、靴など幅広く使われます。

トカゲ革。細かな模様が特徴。

特に、背中の輪っかのような模様が特徴的な「リングマークトカゲ(ミズオオトカゲ)」は、トカゲ革の中でも最高級品で、大きなものは全長2メートルもあります。他にも「ナイルオオトカゲ」や「テグー」「イグアナ」などの種類があります。

4.ダチョウ(オーストリッチ)

“飛べない鳥”として現生鳥類のなかでは最大級であり、平均の体高は2,2メートル、重さは120kgもあるとのこと。代表的な産地が南アフリカの「クライン・カルー」という地域で、積極的にオーストリッチの飼育が行われています。

オーストリッチの羽根は、以前からインテリアやステージ衣装などに使われてきました。

最近では、ダチョウ肉は高たんぱくで低脂肪なため、健康志向の人たちに支持されています。また卵は鶏卵の25個分の大きさもあり、とても美味しいとのこと。

オーストリッチ革。クイルマークはオーストリッチ革でも一部。

何といってもオーストリッチの革の特徴は、羽毛を抜いた後の丸い「クイルマーク」と呼ばれる模様です。

実はこのマークは全身にあるわけではなく、お尻部分の一部に限られます。なのでクイルマークが使われているものオーストリッチ製品は、実は大変貴重と言えます。

ハーフポイントの財布も個性的です。

バッグや財布では、製品すべてにクイルマークを使ったものを「フルポイント」、片側に使ったものを「ハーフポイント」などと呼んでいます。

オーストリッチの「脚の部分」もしっかり革として活用されています。「オーストリッチレッグ」と呼ばれ、爬虫類に似たウロコ状の模様が特徴です。

 

5.サメ革(シャーク)

全世界の熱帯から温帯、浅瀬から深海まで幅広く生息しているサメ。

日本近海でも100を超える種類が生息しています。サメはもともと食肉、ヒレ(フカヒレ)、肝臓のビタミンA、皮からヤスリやおろし金、なめして皮革製品と、さまざまな用途に使われてきました。日本国内では、「ヨシキリザメ」が革として利用される代表的な種類です。

サメ革。イメージどおり硬い革です。

特にサメの皮には、リン酸カルシウムでできた楯鱗(じゅりん)という、硬い表皮があります。これを最初に塩酸で処理してから、なめし作業に入ります。

サメ革で作られた革小物。

 

6.エイ革

サメの近縁種で、革として利用されるのは主に「スティングレー(アカエイ)」。ヨーロッパでは「ガルーシャ」という呼び方もあります。

硬く丈夫なため“100年持つ革”とも言われていますが、実際日本でも刀の柄の部分や兜などに使われ、現代にも博物館などで見ることができるものもあります。

エイ革はビーズのような硬くて丈夫な革が特長。

この表皮を削ると、リン酸カルシウムでできた粒状のウロコが出てきます。「スターマーク」とも呼ばれ、一匹に一か所しかありません。ビーズを敷き詰めたようにも見え、美しく輝く表情が人気です。

 

7.アザラシ、オットセイ

アザラシやオットセイからできる革を「シール」と呼びます。表面に独特な凹凸のある“畝模様”が生まれるのが特徴。極寒の地でも生息するので、アザラシの革は厚みがあって丈夫と言われています。主に寒い地域に生息するタテゴトアザラシは、「ハープシール」と呼び、毛の色は白~灰色で、雄は大人になると“竪琴”のようなUの字のまだらが現れます。

オットセイは「ケープシール」とも呼ばれ、主に南部アフリカ沿岸や北太平洋に生息しています。この製品を作っている業者は大変少ないため、希少な革のひとつです。

ケープシール。

 

【エキゾチックレザーはなぜ高いのか】

KAWANOWA」サイトをご覧いただけるとわかるように、クロコやヘビ革などは牛などと比べて大変高価です。

その理由は以下にあるのではないでしょうか。

  1. ワシントン条約で捕獲が規制されていること
  2. 特にクロコやダチョウは養殖するための高額なコストがかかること(特にラグジュアリーブランド向けは、個体がキズつかないよう一匹づつのケージに入れて管理されているほどです)
  3. エキゾチックレザーをなめせる工場の数が少なく、扱いも繊細であること
  4. 染色技術やシェービング(革の厚み調整)、縫製技術を持った職人が限られていること
  5. 牛などと違い、一匹の革から製品として取れる部分が少ないこと

など様々な理由が挙げられます。

 

KAWANOWAでも様々なブランドがエキゾチックレザーを取り扱っておりますが、国内でも少なくなった腕のよい爬虫類職人に仕事を依頼して、ものづくりを行っています。

“牛革とエキゾチックレザーでは、扱う手が違う”とよく言われます。

 

決して同じ職人が扱える素材ではなく、独特な繊細さや見極める厳しい目が求められます。
そんな知識をもってエキゾチックレザーの製品を見直してみると、また魅力が倍増するのではないでしょうか。

~~~~
◆参考資料
日本皮革産業連合会 http://www.jlia.or.jp/

 

━━━
KAWANOWAは、「革とオトナのいい関係」を作っていくサイトです。
革についての、知られざる知識あれこれをこれからもお伝えしていきます。
また次回もお楽しみに。

CHIENOWAコミュニケーション 川崎

川﨑 智枝(かわさき ちえ)。CHIEnoWAコミュニケーション 代表。
1991年、靴・バッグ業界において唯一の経営コンサルティング会社、「アジアリング」入社。
20年弱で全国の靴バッグ専門店・小売店へのべ2,000店を取材。バッグ業界専門コンサルタントとして
のべ約250社のクライアントに実施。
2005年、コーチ・トゥエンティワン(現コーチA)のコーチトレーニングプログラム(CTP)終了。
業界内でスタッフ・マネージャー研修、営業マン研修等を実施。著書「靴バッグ 知識と売り場作り」。
研修コーチ、服飾雑貨MDプランナー、webマガジン「B.A.G. Number」編集長として独立。