【新連載:革製品の歴史】その5「早道」は江戸時代の“コンパクト財布”?<嚢物考古集より>

革のまめ知識

みなさんこんにちは、KAWANOWAです。

カバンやバッグなど革製品の歴史をひもとく連載、第5回目です。前回はこちら

前回はお財布や革小物の歴史を紐解きましたが、江戸時代にはちょっとユニークな財布代わりのアイテムがあったそうです。

「早道」とは何?

すでに読み方がよくわからないですよね。「そうどう」ではなく、これは「はやみち」と読みます。カタチもちょっと変わっていますね。

(嚢物考古集より)

(プリンセストラヤ袋物参考館より)

飛脚の別名とも言われていて、旅をする男の人の腰に提げる小銭入れとして使われました。ご覧のように、下部分はいまのフラップ付き小銭入れのようなかたちをしていて、小銭を入れていたと言われています。

中央のベルトを帯の後ろに通してひっかけ、上部分の筒状のところで止まるようにしています。二股に分かれているのは、筒の内部に手紙や高額なものなどを入れたのではないかと言われています。

早道にもいまの財布に通じる技法が

フタを開けると、足袋の「コハゼ」のような金具で引っかけていて、フチ部分には今の財布の技術にある「菊寄せ」のような技法が使われています。

江戸時代後期のものですが、さすが革製品はきちんと管理するとここまで品質が保たれるのですね。やはり皮革はすごい。

他にも少しデザインバリエーションがありました。少し金具におしゃれな意匠が施されていたり。

フラップがラウンドになっていて、柔らかい印象になっています。

江戸時代にも革小物は脈々と息づいていて、機能性だけでなくちょっとしたデザイン性も表現されているという発見もあります。

使っていた人たちが、手から手へと受け継いできた革小物。かつて東海道を旅した江戸時代の人たちが、この早道を携えていたのを想像するのも面白いですね。

今回はこれにて。また次回をお楽しみに。