「KAWANOWA」な人たち Vol.4前編  『株式会社パーリィー 代表取締役 白潟 篤氏 インタビュー』 「若手の揺るぎないものづくりと、白潟社長のユニークな個性で生まれる」

KAWANOWAな人たち
リラックスした雰囲気の中、熱い想いを語る 株式会社パーリィー 代表取締役 白潟 篤氏
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白潟社長とエルク革との、運命的な出会い

手に吸いつくような質感が魅力のエルク革

「パーリィー」といえば「フィンランドエルクの革」と言えるほど、このブランドの代表的な素材として知れ渡っています。「エルク」とはヘラジカのことで、アメリカでは「ムース」と呼ばれています。厳しい自然環境の中で生息しているため、ワイルドで味わい深い素材になっています。(株)パーリィーの白潟社長は、このエルクの素材を日本で最初に扱った方でもありました。

「今年でパーリィーは31年目となりましたが、このブランドを立ち上げる前は、実は10年間革問屋で働いていました。革の事がわかるようになったら無性に何か作りたくなったという事でパーリィーを始めました。逆パターンですね。
ある日、タンナー(革を鞣す業者)を訪れた時に、このエルクの革がちょうどウエットブルー(鞣されてまだ乾燥していない青みの状態)のまま床に積んであるのが目に入りました。タンナーさんは“これは野生の革だから傷だらけで使えない”というのですが、私はワイルドで厚みのある革を見て、“これは面白いかも”と直感しました。それがエルク革との運命的な出会いでしたね。」

「傷はデザイン。ワン&オンリーの魅力」

タンナーさんにエルク革を鞣してもらうと、牛と違って1cmもの厚みがあり、重いうえに散弾銃の無数の傷だらけ。けれど白潟社長は逆に「他にない柔らかさ、表情の良さ、そして、傷さえも生きてた証として魅力だった」と出会った当時を語ります。

革の厚みは仕立てやすいように、1cmから4mmに漉いて薄くしました。それでもミシンで2枚縫い合わせると8mmにもなりますが、縫い代には漉きを入れずに厚さを活かしたデザインにしています。またエルク革はオイル入れをしなくても、充分にしなやかで繊維層も丈夫。染めは、革の中に色を染み込ませる染色仕上げなので、透明感があり素材の味わいが活きています。

エルク革の厚さが活きた製品達はしなやかで手になじむ

「傷があっても、逆にそれが“デザイン”でしょう」と仰られるように、傷や穴すらもワン&オンリーの存在感があります。まさに、ハーレーダビッドソンを駆るアメリカンバイク好きの白潟社長が愛用する、ワイルドなバイカーファッションにはぴったりのアイテムと言えます。

カシミアタッチの軽やかな触感がエルクの魅力

ところが、せっかくエルク革の商品を開発した直後は、まさに“返品の山”だったとか。
「そりゃそうですよね。ひとつひとつ革の状態も違うし傷もある。バイヤーさんに理解してもらえるまでには3~4年位はかかりましたね。エルクの特徴や良さを活かすということは、普通の企画商品では無理がありました。今お付き合いして頂いている小売店さんには、皆さんご理解いただいているのがありがたいです。」と白潟さん。最初から上手くいったわけではないようです。

傷だらけの革なのに、どんなところからファンが広がったのでしょうか。伺うと、「とにかくファースト・タッチ」とのお答えでした。確かに、一度触ってみるとそのエルクの良さは圧倒的に伝わります。ふわっとした軽やかな触感と、カシミアタッチのクセになる指滑りは、五感に響く心地よさ。
またスマホの画面やメガネのレンズなど、精密機器をピカピカにするのも鹿革の特徴。パーリィーの「スマホケース」がKAWANOWAで人気なのも頷けました。

【PARLEY(パーリィー)】エルクアイフォンケース 6s対応

前編はここまで。
後編は今後の夢やアメリカ大陸の旅の裏側について伺った内容をお伝えします。

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バッグのご紹介に限らず、様々な情報や職人さんの横顔などもお伝えしてまいります。それでは、次回もお楽しみに

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