【KAWANOWAな人たちⅡ】職人たちが挑む“ライセンス”、「技術認定試験」とは何? KAWANOWAな人たち 2023年8月24日2023年8月26日 by chie kawasaki 革製品の職人たちのライセンスとして 「これは革製品の制作に携わる職人の、“ライセンス”とも呼べるものだと思います。」 そう話すのは、革製品技能試験の委員長を務める、株式会社革包司博庵の長谷川博司社長。 長谷川さんは、2023年7月12日付けで、JAPAN LEATHER GOODS MEISTER(ジャパンレザーグッズマイスター/小物部門)として認定されました。 日本最古の革小物工房「革包司 博庵」の代表でもあり、薄作り財布の代表的な技術である「ベタ貼り」の技法は、国内でも長谷川さんの右に出る人はいません。 革包司博庵の代表取締役、長谷川博さん ごく薄く漉いた革の、裏側どうしを貼り合わせるベタ貼り技法。両面が表になり、しなやかなコシが生まれる 革包司博庵の創業は明治39(1906)年。現在は3代目の長谷川さんへ、脈々と技術が受け継がれています。 今回はこの技術認定事業について、事業の委員長をされている長谷川さんに詳しくお話しを伺いました。 「来年で13回目を数える、比較的新しい資格試験ですが、ものづくりに携わる方にとって大きな指標として認知が広がっています。 そもそもこの試験は、職人の技術力を向上させるだけでなく、皮革技術に対する相対的な評価を高め、社会的な認知度をアップさせるという狙いもあります。」 薄財布も、中を開くと鮮やかなレッド。こういった遊び心も博庵ならでは 「特に1級の検定試験は、業界で10年以上仕事をしていることが受験の条件になっており、試験もことのほか難しいことで知られています。過去に合格された方は、鞄・ハンドバッグ・革小物部門それぞれを合計しても、全部で78名しかおりません。 けれど最近では、30、40代の若い職人たちが少しずつ増えてきているのは、なんとも頼もしい限りです。 ものづくりに興味を持つ人材を増やすことに加えて、皮革産業の未来を担う後継者育成につなげることも大きな狙いです。 ご自身の腕試しにまずは3級から、積極的に受講されてみてはいかがでしょう」 と長谷川さんは語ってくださいました。 さりげないカップホルダーももちろんべた貼り技法。内側のレッドがキュート 革製品の技術を後世に 革製品技能試験を主催するのは、(一社)日本皮革産業連合会傘下の以下4団体。 (全日本革靴工業協同組合連合会・日本鞄ハンドバッグ協会・日本服装ベルト工業連合会・日本手袋工業組合) 特に、KAWANOWAと関係の深いのが、鞄・ハンドバッグ・小物技術認定(皮革部門)試験。 こちらは「鞄部門」・「ハンドバッグ部門」・「小物部門(紳士・婦人)」の3部門に分かれており、職人の技術や知識を一定以上の基準によって認定しています。 1級と2級には学科試験と実技試験のほかに、作品審査もあります 「職人になる第一歩として、まずは確実に同じ物を作れることや、“これは間違いない”と先輩に言われるような作り手になって欲しい。そのために、生業(なりわい)として、革製品の技術を後世に継承してほしいと考えています。」とのこと。 第13回の技能試験についてはまだ詳細が出ておりませんが、職人としての自分の腕を試したい、技術のレベルを確認してみたい、という方はぜひ今から腕を磨いておくのもいいかもしれません。 問い合わせはこちらのwebサイトから。 https://license.jlia.or.jp/