「KAWANOWA」な人たち Vol.5後編 『有限会社野村製作所 代表取締役 野村俊一氏 インタビュー』 「自由でのびのびした環境から生まれる、ユニークな革小物たち」

KAWANOWAな人たち

後編では、催事イベントでのお話や、今後の展望について伺います。
前編はこちら

不動な定番デザインを求めるお客様

催事イベントに立っている植田清香さんにもお話を伺いました。

「私たちが通常作らせて頂いているOEM製品は、毎年トレンドが変わるので、新しいものがどんどん提案されます。けれど、お客様の中には“前に使っていたあの財布が欲しい”といった、継続的に同じデザインを使いたいと希望される方が少なくないのです。
そういったニーズはオリジナルであれば可能ですし、お客様にご提案頂いた色を試すことも出来ます。そんなご要望を形にしていたら、今では20色展開になったシリーズもあります。好きな色を探したいというお客様に人気の商品になっています。」

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引き出しの中にぎっしり。過去に作られたOEM製品の数々。

イベントでリアルな声を聞く

OEMメーカーであれば、一般的には店頭で直接お客様と繋がれる機会はほぼありません。問屋に納品して終わり、というのが常ですが、現在積極的に催事イベントに出店してお客様の生の声を伺っています。
何が欲しいのか、どんな使い勝手がいいのかなど、細かく聞きだすことで次の製品のアイデアにも繋がっています。

「モノづくりだけをしている時に比べて何が変わったかというと、きっと“親切心”なんだと思います。デザイナーさんのデザインを形にするだけでなく、使って下さる方の使い勝手を考え、形に生かす大切さを改めて実感しています。直接声が聞ける機会を頂けて、大変有り難いと思っています。」

「売場で初めてお会いするお客様が、“ようやくあなたに会えたわー、嬉しい”と言って下さるケースが増えてきました。相手はブログなどを見てすでに私を知って下さっています。そんな出逢いもとても嬉しく、販売に行くというより実物を持って使い勝手や、作ってくれた職人さんについて説明に伺う感覚です。」と植田さんは笑います。

商品力だけでなく、野村製作所のスタッフが醸し出す温かい雰囲気も、人気の大きな要因なのかもしれません。

お客様のリアルな声を聞く、有限会社野村製作所 植田清香氏

職人さんの“独り立ち”を奨励

現在は社内に8名の職人さんがいますが、野村社長は一人増えるたびにミシンを買い足してきました。ミシンを共有する会社も多いですが、「みんなそれぞれ使う時の設定があるから」と、一人一台使える環境にしています。

サンプル製作室に並ぶミシン台。

ここ数年で、数人の職人さんが野村製作所の研修を受け、専属の職人さんとして独立していきました。2年前からは栃木市に営業所兼研修所を設け、職人さんの養成に力を入れています。そんな形で野村社長は積極的に職人さんの“独り立ち”を奨励しています。

メイドインジャパンの製品が人気を博していますが、実際のところ業界では大変な職人不足。そんな中でものづくりが好きな若い人たちが自由に学び、鍛えられて自分の手一本で生きていくことを応援してくれる存在は、この時代とても貴重ではないかと思いました。

最後に、「KAWANOWA」をどんな場にしたいですか?とお尋ねしました。
「2020年の東京オリンピックに向けて、日本のモノづくりをもっと知ってもらう機会を増やす必要があると思います。“良心的な日本製の革製品”がここに来ればたくさん見られる、という場になってくれれば嬉しいですね。」と野村社長は最後に顔をほころばせました。

◆有限会社 野村製作所
東京都台東区東上野1-28-10
KAWANOWAは、得意ジャンルもテイストも違ったメイドインジャパンのバッグメーカーが集まったサイトです。
バッグのご紹介に限らず、様々な情報や職人さんの横顔などもお伝えしてまいります。

それでは、次回もお楽しみに。

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