「KAWANOWA」な人たち Vol.6前編 株式会社ラモーダヨシダ 代表取締役 吉田昌充氏 インタビュー 「“財布作り”のパイオニアとして、誇りを持って仕事をしたい」

KAWANOWAな人たち
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株式会社ラモーダヨシダ 代表取締役 吉田昌充氏、後ろには種類豊富なお財布の数々が
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新御徒町駅からほど近くに、日本でも有数の財布メーカーである「株式会社ラモーダヨシダ」はあります。昭和36年に「吉田製作所」として創業し、今年で56年目という老舗企業。代表取締役社長の吉田昌充氏は二代目になります。バッグに比べると、財布や革小物のものづくりというものは、世間にもあまり知られていないのではないでしょうか。

「バッグ」と「かばん」と「革小物」の関係

服飾雑貨の歴史を紐解くと、「バッグ(袋もの)」と「かばん(紳士もの)」と「財布・革小物」とは、実はスタート地点が全く違うと言われています。

「袋もの」は基本的に“裏から縫って、ひっくり返して表にする”という手法を取っています。なので、素材は柔らかい布や薄手の革を主に使用します。
「かばん」は着物を収納していた“柳ごうり”づくりから発展し、固くてしっかりした男性向けかばんのものづくりが基礎になっています。主に兵庫県の「豊岡市」が産地。

革小物は小さな“工芸品”の世界で、昔は喫煙具から発祥したメーカーも多く、繊細な技術を必要とするものづくりです。
なので財布の本業メーカーが作るものは、歴史的にもしっかりした技術に裏打ちされ、見えない細かなパーツにも気を使っているので、使い続けることで真価がわかる品であると言えます。

バッグメーカーが財布を作る、または財布メーカーがバッグを作る、というのは、本来であれば“手掛ける職人さんが違う”ということになります。さすがに最近では、そこまで厳密な線引きはありませんが、財布本業メーカーが作るものは、様々な試行錯誤を重ねた末に編み出されているという背景があるのです。

自主企画品を立ち上げる

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ここで、1つ1つ検品してきます。

(株)ラモーダヨシダでは、職人を国内外で50人ほど抱えており、常に新しい企画を立ち上げている財布メーカーです。まず社内にお邪魔してびっくりすることが、広々した「検品室」があること。本社に集まってきた商品は、必ずこの検品室を通り、ひとつづつ開封されて社員総出で検品を行っています。
また商品を大きなX線の機械にかけて、ホチキスの針や余計な金具等が入っていないかをチェックします。そこまでなぜ厳しいチェックを行うのか、吉田社長にお話を伺いました。

「例えば、この1枚の革が“バッグ”になる場合と、“財布”になる場合を考えてみて下さい。革の上にごく小さなシミやキズがあっても、大ぶりのバッグではそれほど気にならないでしょう。けれど財布は、アイテム自体が小さいので、とても目立ってしまいます。
本当は縮尺の違いによる目の錯覚なのですが、やはり財布はしっかり検品を行わないと後で返品対象にもなってしまうので、あえてこのゾーンには力を入れているのです。
先日あるバッグメーカーの方と話しましたが、バッグの検品は“完成品の中から数本だけ抜いてチェックをする”と聞きびっくりしました。厳しい全数検品も、私たちの業界が生き残るための一つの方法だと思っています。」 。

基本的には、取引先と直接つながっている営業マンが、主な検品メンバーとして参加しているのだとか。そうすることによって責任感も生まれ、より良いものをお客様に納品したいと考えるようになるからだと、吉田社長は仰います。

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空港で見るような、大きなX線の機械!

ラウンドファスナーの財布を生み出した

バッグやかばんに比べて、財布というアイテムはトレンドが急に変化することがないため、一つの型を長くじっくりと取り組むことができます。しかしラモーダヨシダではそこに甘んじることなく、「企画部」という部署を財布業界で初めて取り入れました。
なんと、今主流になっている「ラウンドファスナー型」の財布は、こちらで生み出されたデザインだそうです。

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ラウンドファスナー型財布。この型を基に色や、デザインなどを決めることができます。

それまで財布の「企画」というのは、バッグや服のデザイナーが片手間に行っていたことでしたが、専業として本格的に“財布のデザイン”を行うメンバーを社内で育成し始めます。業界でも先進的なことでした。

量販店(スーパー等)への提案として、ライセンスブランドを自社で取得し、企画部が率先して新しいデザインを起こし、そして自分たちで売るという新しい財布の流通形態をスタートさせました。

1970年代頃からビジネスモデルとして広がった“ライセンス生産”により、財布のマーケットも一気に拡大しましたが、国内生産では職人の数が追い付かなくなります。そこで当時まだ珍しかった、中国へと生産拠点を増やすことを先代社長が決意されたそうです。

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まるで資料館のようなオフィスの一画。

「(先代社長は)最初は、栃木の鬼怒川に財布工場を作りましたが、思うように職人が集まらなかったのです。検討を重ねた結果、中国に渡ることを決めました。
とはいえ5年くらいかけないと職人の技術力は向上しないので、そう簡単には行きません。特に財布は部品点数が多く手間がかかるので、現地の職人を教育することには時間をかけました。」

スマホがしまえる2つ折長財布
スマホがしまえる2つ折長財布

財布づくりには想像以上の苦労と、新しいものを生み出すための“イノベーション”が詰まっていることを実感させていただきました。
次回は、更に突っ込んだ財布の世界についてお尋ねしたいと思います。KAWANOWAは、得意ジャンルもテイストも違ったメイドインジャパンのバッグメーカーが集まったサイトです。
バッグのご紹介に限らず、様々な情報や職人さんの横顔などもお伝えしてまいります。

それでは、次回もお楽しみに。

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