「KAWANOWA」な人たち Vol.9後編 ハンドバッグ製造ヒロセ 代表 広瀬和俊氏 インタビュー 「“目も耳も舌も”、すべての感覚と感性を磨き続けること。」

KAWANOWAな人たち
前回まで、広瀬さんがエキゾチックレザーと出会い、その魅力に目覚めたお話を伺いました。
今回はその仕事が生み出される背景がまたユニークでしたのでお伝えします。

「感覚を感性」を磨くために不可欠なショップ視察

広瀬さんは月に3回から4回は、表参道や青山などのラグジュアリーショップの視察に欠かさず出かけているそうです。
ものづくりに専念する方で、月にそれだけショップ視察に時間を割かれる方というのは、そう多くはないと思われますが、広瀬さんはこれについてはこだわりを持っていました。

「うちの本業はOEMメーカーですが、言われたデザインをそのまま右から左へと作ることはしません。相手ブランドの方と、あくまでも『一緒に考えてより良いデザインを提案する』という“ディレクション”的な仕事だと思っています。最終的にはそれは『感覚と感性』がすべての世界。

先方も時には、無理難題を言ってくるところもありますが、基本的には仕事は断らないようにしています。何とかそれを形にし、プラスアルファの提案ができるようにするのが自分なりの仕事のスタンスですね。」
と広瀬さん。

型

写真では伝えきれないほどの美しいカラーでした

目も、耳も、舌もすべて鍛えること

インタビュー中で何度も出てきた言葉が、“感性”
とにかくこれを衰えさせないように、普段から「五感を鍛える」ことを欠かさないようにしているとか。これについては。

「来たデザインに対して、『この素材はこうするともっと生きる』とか、『こういう仕様を加えるのはどうか』など、プラスアルファの提案をしてより良い商品に近づけるアドバイスもします。そのためには、自分の感性や感覚を磨きつづけることが大切だと思っています。

例えば、映画館美術館に行ったり、生のライブを聞いたり、話題のレストランに出かけたり、スイーツを食べたりと、新しい情報は頻繁にチェックしていますね。“目も、耳も、舌も、すべて鍛える”と言うことでしょうか。

話題の作品を鑑賞する、トレンドの飲食店に出かけるということは、ある意味で今の時代を代弁する“空気感”を取り入れることだと思います。
映画や絵画に登場する、カラー、ファッション、雰囲気などは、それだけでも創作のヒントになりますね。」

 

感性プラス、健康体でいることが大切

私たちインタビュアーでも知らなかった、いま注目のスイーツ店もご存知だったのにはびっくり。またアカデミー賞を受賞した映画「ラ・ラ・ランド」も早々とチェックされていて、歌の部分だけでなく、服の細部までも観察されているのには驚かされました。

また、身体の健康も維持しないと仕事に反映してしまうとのことで、身体を鍛えることも欠かさないそうです。様々な角度から“感性を磨く”ことでしか、自分自身の仕事はバージョンアップしていかない、という言葉が印象的でした。

ストイックな部分も持ち合わせつつ、最近見た映画の感想や美味しいスイーツショップの話など、なんとも引き出しが多く話題豊富な広瀬さん。こんなところも、ぶれない軸を持ったメーカーでいつづける所以なのだと実感しました。

オリジナルデザインもこれから増やしたい

【ヒロセ】パイソンレディースバッグ アーク

【ヒロセ】パイソンレディースバッグ アーク

長くこの仕事を手掛けていながら、なかなかオリジナルブランドを立ち上げる機会がなかったという広瀬さん。このKAWANOWAサイトに参加されたことをきっかけに、刺激をもらっているとのこと。

「今まで依頼された仕事に対して、“自分なりのエッセンス”を入れて提案することが多かったので、あえてオリジナル商品を作るということには重きを置いてこなかったのかもしれません。

けれど、いざ『KAWANOWAにオリジナルを』と言われたときに、自分の中の“作りたいもの”を探ってみると、今までとは別の発想が必要だということに気づきました。今回はとても良い刺激をもらっていると思います。
オリジナルのデザインバリエーションをもっと増やして、今後は“は虫類の面白さ”を伝えていけるといいですね。」

広瀬さんが手掛けられるオリジナルを、これからも楽しみに待っていたいと思います。
ありがとうございました。

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文責 CHIEnoWAコミュニケーション 川崎智枝