「KAWANOWA」な人たち Vol.11前編 株式会社サトー 代表取締役 佐藤晃一郎さん “何を売るか、どう売るか”のアイデアを常に考ています

KAWANOWAな人たち

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アイデアを形に。株式会社サトー 代表取締役 佐藤晃一郎氏
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「KAWANOWA」の中でも、レザーにとどまらず様々な素材のバッグを提案している株式会社サトー。「ふじやま織り」や「印伝」など、“和”のテイストを取り入れた普段づかいしやすいアイテムを得意とされています。「新しい素材を発見し、しっかり売ること」にこだわり、様々なアイデアを形にしてきた代表取締役の佐藤晃一郎社長。常に考えている、“売るためには何をすべきか”に関して、ご自身のユニークな哲学を伺いました。

傘メーカーでの仕事からスタート

佐藤社長は、もともとは祖父の代から始められた「傘メーカー」の三代目。傘で培った体験が、いまの仕事に大いに生きているそうです。

実はこれら「ふじやま織」や「印伝」の商品に関して、“製造”しているのではなく、素材を見つけて“プロデュース”するお立場の方になります。

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印伝のポシェット

現在の主な販路は、一般的に結婚式の引き出物や香典返しなどに活用される「カタログギフト」と呼ばれるカテゴリーがメイン。商材も、レザーから生地ものまでバリエーション豊富に揃っているのも特徴です。

 

佐藤社長が傘メーカーで働いていた、今から2、30年以上前。当時は、「傘を買い求める」といえば百貨店がメインだった頃で、今のようなビニール傘も普及しておらず、大手傘メーカーの商品がデパートの売場を占めていた時代です。

 

佐藤社長も、雨が降るたびにどのメーカーよりも早く百貨店に飛んで行っては、積極的に納品を続けていきました。かといって、毎日傘がコンスタントに売れるわけでもなく、佐藤さんの父親が経営していた傘メーカーも苦労の連続だったといいます。

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原点である傘も取扱っています

10色展開のマザーバッグがはじまり

ある時、ふとしたきっかけでバッグメーカーの知り合いの方から、「バッグは傘以上に安定的で好調な商材」ということを耳にします。持ち前のチャレンジ精神から、「それではやってみようと」初めてバッグを手掛けることに。今から15年くらい前だそうです。

 

最初は、マチの太い“マザーバッグ型”のトートを、初っぱなから“10色展開”してみたとか。黒茶のバッグが全盛の頃に、10色とはなかなかの冒険だったのではないでしょうか。

 

「当時は右も左もわからないけれど、とにかくバッグ作りにこだわってみたんです。10色展開という発想は、実は傘メーカーの時代のアイデアでした。 ある大手傘メーカーが、売場で傘を“36色展開”していたことが強く印象に残っていて、ぜひバッグでもやってみたいと温めていました。異業種から学べることって、実はたくさんあるんですよね。」

と佐藤社長。

 

その10色展開のマザーバッグを、合同展示会「ギフトショー」で初デビューさせると、「カラフル」さと「日本製」ということもあいまって大成功を収めました。

 

その時に、カタログ通販の会社と数社との取引が始まり、本格的にバッグの提案を考えるようになったそうです。

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取り扱っているカタログはまだまだたくさんあります

“バッグ職人・石井猛雄”ブランドを立ち上げ

バッグ作りが軌道に乗ってきてしばらくして、中学校の同級生が腕の立つかばん職人をされていたご縁から、「職人・石井猛雄」ブランドを立ち上げます。

当時はまだ大手ブランド志向で、“バッグ職人”というキーワードも世の中に少ない中、作務衣姿の写真をタグに使い、より安心感・信頼感を全面に出す作戦で成功を収めました。

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石井猛雄氏が手掛けたバッグ

「私自身実は、バッグの“つくり”などの細かな部分に関して、それほど詳しくないんです(笑)。商品を作るのは職人さんたちなので、こちらがあまりに詳しいと“こんなこと頼んだらきっと嫌だろうな”といったことが分かってしまうから。少し距離を置いて、こちらの自由なアイデアを素直にカタチにしてもらうことの方が大切なのではと思いますね」

と佐藤社長。

確かに相手の仕事が“分かりすぎる”ことは、逆に斬新なやり方が生まれないかもしれません。あえてものづくりと距離を取り、“何を売るか”だけでなく“どう売るか”までも考えるアイデアマンの佐藤社長。仕事をされていく中で、ユニークなエピソードはまだまだ他にもありました。

次回に続きます。

 

◆株式会社サトー
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URL http://kodawari-senka.com/

文責 CHIEnoWAコミュニケーション 川崎智枝