たくさんある革の種類【まとめ】 その2 <牛以外の動物>

革のまめ知識

「KAWANOWA」は「革の輪」だけあって、ご覧のように革もののかばん、小物を得意としています。

その革にも実は様々な種類があります。

 

「牛」「羊」「豚」など動物の種類だけでも十種類以上、そして一口で「牛革」といっても成長の度合いや性別によっても様々な呼び名があります。

このコーナーでは、材料としての革の種類をわかりやすく「まとめ」てみようと思います。

 

【牛以外の動物の種類】

前回は「牛革の種類」についてお伝えいたしました。

革の代表格ではありますが、もちろんそれだけが革ではありません。ほかにも様々な種類の革があり、大人の革と子供の革の名称、また使う部位によっても名称が変わるのも興味深いところです。

 

(1) 山羊(ゴート、キット)

山羊(ヤギ)はアジアやアフリカなどの途上国では、家畜として飼育されており種類も豊富で、皮は生活の中で様々に利用されています。とても柔軟で繊維の密度が濃く、銀面(革の表面)は摩耗性に優れています。

 

◆ゴート(大人の山羊革)

大人の山羊革は、表面に独特なシボ感(凹凸)が表れているのが特徴になります。牛革と一番違うのはこのポイント。

牛革と比べて薄手ではありますが、摩耗性・耐久性にも優れている革です。

バッグ、靴だけでなく、手袋やレザージャケットなどにも使用されます。

【azzuni(アッズーニ)】本革コンビ縦型トートバッグ L Capa

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◆キッド(子山羊の革)

子山羊の革は、大人と違ってシボ感が目立ちません。染める時にキレイに発色するので、高級品に使われることが多いようです。

また革が小さなサイズなため、大判のバッグには向かず、カラフルな色出しのサンダルや手袋などに使われることが多いです。

 

(2)ひつじ(シープ、ラム)

世界的に見ても品種の多い動物で、その品種によって革の性質が異なります。

丈夫さではゴートには及びませんが、軽くて柔らかく、防寒素材に優れています。

ちなみに「シープスキン」は英語表記、「ムートン」は仏語表記です。ムートンの方がモコモコしているイメージですが、実は同じ意味でした。

 

◆シープ

生後1年以上の大人をシープと呼び、直っすぐな毛を持つ「ヘアシープ」と、巻き毛の「ウールシープ」に分けられます。

ヘアシープが多く生息するのは熱帯地域。

身体を守る温かい毛や脂肪が必要ないので、毛皮としての利用価値はあまり高くないのですが、革そのものが強度にすぐれ、表面もキメ細かくなっています。

ゴルフ用手袋やウエアなどに使われます。

 

ウールシープは温暖~寒冷の地に生息する、「毛」を刈り取る羊。

寒さに耐えるため脂肪も蓄えているので、革そのものの強度はそれほどでもないですが、軽さと柔らかさがあります。

靴や手袋、コートやジャケットなどに使われます。モコモコした毛をつけたままの毛皮は、ムートンブーツや寒冷地仕様のジャケットなどに使われます。

 

◆ラム

生後1年以内の子羊の革をラムと呼びます。あまり産出されないので高級品として扱われます。

毛穴が小さくキメ細やかで、滑らかでしっとりした質感が特徴です。柔らかく軽いのでウエアや手袋などに使われます。

 

(3)豚(ピッグ)

豚は、日本が唯一輸出している革でもあります。豚を食する文化としては韓国や中国も同じですが、実はあちらは皮ごと食べてしまうので、原皮が産出されません。

国内では、特に墨田区にピッグスキンのタンナーさん(鞣し業者)が多いことでも知られています。

 

豚革の最大の特徴は、毛が三本づつまとまって生えていて、毛穴模様が特徴です。

これが通気性の良さをもたらし、薄くて軽いため、靴のライニング(裏側の革)や革小物の裏革などに使われます。

牛革よりも繊維が細かいので、バフィング(サンドペーパーがけ)することで美しい起毛革にして活用もされています。

 

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【PARLEY(パーリィー)】エルク ボディバッグ 裏地ピッグスエード使用

 

(4)馬(ホース、コードバン)

馬は牛と違って運動量が格段に多いので、余分な脂肪が少なく革が薄め、軽くてしなやかな特徴があります。その中でも二種類あって、お尻の部分にある緻密な繊維構造の革を「コードバン」、それ以外の胴部分の革は「ホース」と呼ばれます。

 

◆ホース

馬は繊維の密度が牛と同程度ありますが、薄くなってもしなやかさを保つので、軽いことが特徴と言われます。

動き回っていることから、個体にはややキズが多くなっています。

【azzuni(アッズーニ)】B4も入る馬革のトートバッグ M Capa

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◆コードバン

馬の臀部(お尻)部分に集まった、緻密な繊維構造の革。一頭からの採取量わずか2枚ですが、すべての馬から必ず取れるわけではありません。革の裏側を丁寧に削っていくと、厚さ2mmのコードバン層が現れます。

コードバンは強靭な繊維をもつため「革の宝石」とも言われています。世界的にも希少であり、高級素材としてベルト、革小物、ランドセルなどに使われます。

【FESON(フェソン)】コードバン切目靴べらキーホルダー

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(5)鹿(ディア)

ホースと同様、薄手で軽いのが鹿革です。ただキズが多いので、銀面を剥いで使われることが多く、代表的なのがカメラなどを拭く“セーム革”です。漆模様を描いた「甲州印伝」のベースになっている革は、実は鹿革です。

牛革とは違ってふわっとした質感としなやかさで、ウエア、手袋などに使われることが多いです。

印伝ポシェット

「印伝」ポシェット

 

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◆参考資料
日本皮革産業連合会 販売研修用テキスト http://www.jlia.or.jp/

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革についての、知られざる知識あれこれをこれからもお伝えしていきます。
また次回もお楽しみに。

CHIENOWAコミュニケーション 川崎