「日本での、革のうまれるまち探訪」その3 <埼玉県 草加市>

革のうまれるまち

「KAWANOWA」は「革の輪」。とはいえ、「革」についての知識ってどのくらい持っていらっしゃいますか?

さて、1回目「姫路」2回目「墨田区」に引き続き今回は「革のうまれるまち探訪 その3」は埼玉県、それも「草加市」。東武東上線で都心まで一本で通勤できる便利さもあって、東京のベッドタウンとしても栄えている草加市。

「え?草加市っておせんべいの名産地じゃないの?」という声が聞こえて来ますが、もちろんそれはそれで全国的にも有名です。けれど他にも、草加の地場産業って実は意外なものがあるんですよ。探索してみましょう。

1.「埼玉県 草加市」

(1)草加の三大地場産業とは

草加市は埼玉県の東の端に位置し、東武線で通勤もラクということもあって、ファミリーに人気のエリアです。

実は草加市には、古くからの地場産業が3つあります。
ひとつは全国的にも有名な「草加せんべい」。江戸時代にお米の団子を乾燥させ保存食としていたものを宿場町であった“草加宿”で販売したのが始まりだとか。昔から米どころでもあり、また醤油醸造の野田市(〇ッコーマンが有名)も近いことから、せんべい作りに適していたそうです。

あと二つは、意外ながら「浴衣」と「革製品」なのです。

「浴衣」は江戸時代に、神田の染織業者が大火により焼き出され、水の豊富な当時の草加に移住し、事業を再開したのが始まりと伝えられています。

革製の手すり

そして「革製品」
草加市に革業者が集まって来たのは昭和10年頃と言われています。革なめし業者や革職人などの関連業者が、浅草や隅田などの東京都内から、工場用地を獲得しやすい草加市内に拠点を求めて移転してきたのが始まりだとか。
やはり浴衣も革製品も、「綾瀬川」の豊富な“水”の存在は不可欠だったのですね。

(2)草加の革産業の特徴

インテリアにさりげなく革!

草加の革産業の特徴は、牛、豚、羊のほか爬虫類やシャーク(鮫)などのエキゾチックレザーまで、多種多様な素材を使用している点にあります。製品では、靴やかばん、衣料品、グローブ、インテリア雑貨、珍しいところでは“太鼓”などバリエーション豊富な商品が生み出されています。

また、このエリアは他2つの“革のまち”と異なり、「原皮」から「鞣し」「縫製」「仕上げ」と、“原料の製造”から“製品の完成”まで一貫した業者が集まっているのが特徴です。革づくりから製造までを、近場のネットワークでできることが他の産地にない大きな強みとなりました。

そんな草加市にはタンナーさんもあります。

大きな牛革!

そこで最近では、草加の作り手たちが連携し、この地のモノづくりの強みを活かした「レザータウン草加プロジェクト」をスタート。5年前からはエコレザーを使った「彩鞄(さいほう)」ブランドを立ち上げました。エコレザー素材とは、自然にもヒトにもかかる負荷を少なくして、厳しい品質基準をクリアした革素材のことです。

また、現在草加で活躍する中心的な10社のなかには、高価な爬虫類の鞣しを得意としたり、海外著名ブランドの修理を専門に行ったりと、他にはないオリジナリルな力を発揮しているところも少なくないとか。

“草加せんべい”だけでなく、草加が『革のまち』であるという認知度をもっと上げて、この地域全体の価値をアップさせていきたいと、草加のまちが一体となってがんばっています。

彩鞄ブランド バッグや小物が並びます

さて草加で「革」というのも意外でしたね。「せんべいだけじゃない」草加のまちも、少しでも知っていただけると嬉しいです。

◆参考URL
草加市ウェブサイト(http://www.city.soka.saitama.jp/
彩鞄ウェブサイト(http://soka-saiho.jp/craftsmen/
埼玉皮革関連事業協同組合(http://soka-saihou.jp/
ジャパンエコレザー(http://ecoleather.jlia.or.jp/

 


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革についての、知られざる知識あれこれをこれからもお伝えしていきます。
また次回もお楽しみに。